ご一緒にこちらの映画はいかがですか?

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映画「オンリー・ザ・ブレイブ」(2018)

作品情報

原題:Only the Brave

監督:ジョセフ・コシンスキー

出演:ジョシュ・ブローリンマイルズ・テラージェームズ・バッジ・デールジェフ・ブリッジステイラー・キッチュジェニファー・コネリー

制作国:アメリ

上映時間:134分

配給:ギャガ

年齢制限:G

あらすじ

自堕落な日々を送っていた青年ブレンダンは、恋人の妊娠をきっかけに生き方を改めることを決意し、地元の森林消防団に入隊する。地獄のような訓練に耐えながらチームを率いる隊長のマーシュや仲間たちと絆を深め、少しずつ成長していく。そんなある日、山を丸ごと覆い尽くすかのような大規模な山火事が発生する。

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実力派の俳優と王道の演出でアツさが限界突破した古風なアメリカンスタイルの傑作実話映画

僕がフラッと入ったイオンシネマで適当に決めて観てあまりの衝撃に震えが止まらずトイレで動けなくなった作品。

監督はいまや「トップガン マーヴェリック」でその名が知れ渡ったジョセフ・コシンスキー

トロン:レガシー」やそれこそトム・クルーズの「オブリビオン」などガチガチのSF映画監督だったが、この映画で意外と熱血体育会系映画が撮れる才能を発揮。

その経験はそのまま「TGM」にも活かされ、キャストもマイルズ・テラージェニファー・コネリーなどをそのまま引っ張ってきた。

ある意味、これがなければ「TGM」もなかったかもしれないと言ってもいい、映画史に刻むべき作品だ。

 

劇中の出来事は2013年にアメリカのアリゾナ州で発生した巨大な森林火災「ヤーネルヒル火災」に立ち向かった精鋭消防部隊「グラニット・マウンテン・ホットショット」の実話に基づいている。

事件はかなり大きなニュースにもなっているので、ググればこの映画の顛末がわかることだろう。

 

恋人の妊娠をきっかけに消防隊に志願した元ジャンキーのクズ主人公は、気のいい荒くれに囲まれ成長し真人間へと立ち直っていく。

田舎の二軍消防隊が最前線で戦う精鋭部隊に昇格し、叩き上げの実力で未曾有の災害に立ち向かう笑いあり涙あり、喧嘩と友情とロックとカントリーミュージックに溢れた正統派男気150%のドラマ映画だ。

なんかフジテレビあたりで制作されそうなやっすいスポ根ドラマっぽい雰囲気になってしまっているが、公開当時はEXILEが日本語版主題歌を担当する悲劇が起きてしまった。(やっぱりね)

「炎は怖くない。怖いのは愛する人の涙だけ」とかいうクッッッソ寒いコピーがあったのも今となっては懐かしい思い出だ。

めっちゃ真面目な実話映画なのにここまで安っぽいドラマ映画っぽくできてしまうのはある意味すごかった。

 

この映画に出てくる森林消防隊は水ではなく火をもって火を制す。

風を読んで炎より先回りし、木や草を刈り尽くし燃やし尽くし迎え火を用意して炎の進軍を止める。

そんな一風変わった消化活動を丁寧に丁寧に描くのでやはり消防士映画のハズレない伝説に限界はない。

 

エリートチームにバカにされながらも訓練を続け、音楽と下ネタと暴言と友情に溢れたコテコテのマッチョ男社会。

出てくるだけで映画の空気がぐっと引き締まるジェフ・ブリッジスや、渋いオヤジなのにたまに子供扱いされるジョシュ・ブローリンといったおっさん好きにはたまらないオヤジ映画。

乱暴で怖いけど意外といいやつを演じたら間違いない我らがテイラー・キッチュバトルシップ!)、など、味のあるキャストに恵まれている。

 

そんなベタな男たちの激アツドラマをたっぷり見せられたラストに迎える結末のインパクトはかなりのものなので、覚悟をした上で見てほしい。

彼らを不要に美化しすぎず、ただ黙々と訓練して仕事に励むどこにでもいる気のいい男たちとして称えたのは彼らを親しみやすい英雄として、その存在を永遠に形として残したかったからなのかもしれない。

 

マイルズ・テラーは「セッション」に続き本作、そして「トップガン マーヴェリック」と、いい作品に恵まれるなぁ。

今後も目が離せない。