ご一緒にこちらの映画はいかがですか?

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映画「ミッチェル家とマシンの反乱」(2021)

作品情報

原題:The Mitchells vs. Machines

監督:マイク・リアンダ

出演:ダニー・マクブライド/アビ・ジェイコブソン/マーヤ・ルドルフ/マイク・リアンダ/エリック・アンドレオリヴィア・コールマン/フレッド・アーミセン

制作国:アメリ

上映時間:114分

配給:Netflix

あらすじ

映画制作が趣味な変わり者の女の子ケイティは、念願の映画学校への進学が決まり実家を出ることに。一刻も早く新たな環境へ飛び込みたいケイティだったが、自然を愛する父リックの提案で、家族揃ってケイティを学校まで送るドライブ旅行へ出発する。そんな矢先、巨大IT企業・PAL社のロボットが人類に反旗を翻し、世界中が大パニックに陥る。

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クセの強いビジュアルで避けるのは勿体無いソニピ製アニメーション

LEGOムービー」「スパイダーバース」と傑作を連発するフィル・ロード&クリス・ミラーがプロデュースしたソニー・ピクチャーズ製アニメーション。

そもそも大規模公開の予定だったが、コロナの影響でNetflixに売却されてしまった経緯を持っているため、制作規模は配信映画のそれではない。

監督は「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」のマイク・リアンダという、まさに米アニメ界の才能が融合した作品で、これが劇場にかからなかったのはコロナ中の映画界でも大きめの悲劇だ。

 

「スパイダーバース」で見せた斬新なビジュアル、それに影響を受けた作り手が見せたいもの、観客が見たいものを見せてくれるアイデアとイメージの本流。

はちゃめちゃド派手なアニメーションでテンポ良く展開させつつ、シニカルな目線を持ちつつ物事を肯定的に捉える今時の感性でいつの時代も変わらない家族の物語を描く。

作風としては劇場版クレヨンしんちゃんシリーズに近しいものがあるかもしれない。

 

物語るテーマとそれを見せる映像、表現のアイデアと実現させる技術、全てがもうディズニーやピクサーの専売特許ではない。

あれらで育った世代の新たな才能が、ソニーやドリームワークスなどで花開いていることを感じるここ数年。

 

日本アニメも貪欲に吸収し、アメリカのアニメは今どんどん進化している。

2年前の映画なので今見るとまた違う印象を覚えるかもしれないが、近年の米アニメ史を語るなら通っておきたい作品だと思う。