ご一緒にこちらの映画はいかがですか?

映画館で働きながら、たくさんの映画と映画を観る人を見つめています。

映画「ミスター・ノーボディ」(1973)

作品情報

原題:Il mio nome è Nessuno / My Name is Nobody

監督:トニーノ・ヴァレリ

出演:テレンス・ヒルヘンリー・フォンダ/ジャン・マルタン/R・G・アームストロング/ジェフリー・ルイス

制作国:イタリア

上映時間:112分

配給:ユニヴァーサル=CIC

あらすじ

19世紀末、功名心狙いで追われる日々に嫌気がさした伝説の早撃ちガンマン、ジャック・ボーレガードは足を洗い、ヨーロッパで静かに余生を送ることを決意する。そんなジャックの前に「ノーボディ」と名乗る奇妙な若者が現れる。ジャックのガンマン人生の最後を飾るにふさわしい一大イベントを用意するといい付きまとうノーボディの巧妙な仕掛けにより、ジャックは150人のワイルドバンチにたった一人で挑まざるを得なくなる。

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静かに引退したい伝説のガンマンと彼に花道を用意したい若者の奇妙な関係性

古いし超有名作品でもないのでググってもオデンカークの舐め殺映画しか出てこないが、こちらはあのセルジオ・レオーネの助監督だった男トニーノ・ヴァレリが監督を務めたコメディ西部劇。(当時、観客から飽きられつつあった西部劇は色々と模索していたらしい)

引退を決めた伝説のガンマンと彼に憧れる名無しの青年の師弟関係、静かに暮らしたい師匠と彼に派手な伝説を残して引退してほしい弟子の噛み合わないドラマが非常に面白い。

貼り付けた予告編でも聞ける能天気でどこかとぼけたような暖かさを感じるメインテーマ曲や、ワイルドバンチのシーンで流れる派手な「ワルキューレの騎行」のアレンジを手がけたのはあの伝説の巨匠エンニオ・モリコーネ

早撃ち対決のシーン演出は師匠セルジオ・レオーネ自身が手掛け、随所の演出も師匠の色を引き継いだレオーネ節が炸裂。

新しい挑戦と伝統的なマカロニウェスタンの作法も取り入れた本格派の側面もある、ガッチガチの必修科目だ。

 

また、コメディでありながら作品のテーマは「引退と継承」であり時代を問わず心に響く。

それが現実世界のフォンダやレオーネに捧げられている様にも感じられ、昨今のリブート作品ブームに見られるそれが50年前にも行われていたということが実に面白くはないだろうか。

 

ラストシーンにニッコリ。

是非観てほしいオススメの映画です。(いつか映画館でも観たいなぁ)