作品情報
原題:Anyone But You
監督:ウィル・グラック
出演:シドニー・スウィーニー/グレン・パウエル/アレクサンドラ・シップ/ガタ/ハドリー・ロビンソン/ミシェル・ハード/ダーモット・マローニー/ダレン・バーネット/ブライアン・ブラウン/レイチェル・グリフィス/チャーリー・フレイザー/ジョー・デヴィッドソン
制作国:アメリカ
上映時間:103分
年齢制限: G
あらすじ
弁護士を目指し学校に通うビーは、カフェで出会った金融マンのベンと最高の初デートをするが、とある行き違いから一言も告げず彼の元を去ってしまう。数年後、参加した結婚式で偶然再会した二人は険悪ムードを隠し切れないが、復縁を迫る元カレから逃げたいビーと元カノの気を引いてヨリを戻したいベンの利害が一致し、偽装カップルを演じることになる。
ジャンル映画は解体と再構築を繰り返し何度でも甦る
最近、「映画からセクシャルなシーンが半減している」というニュースを見ました。
調べたら10年前にも同じような記事があったので、この20年で半減の半減をしているということになるのか。
一言に言っても過激なエロシーンから普通のロマンスまで色々あると思いますが、確かにそうかも。
原因は色々考えられます。
今はインターネットでラブシーンやエロいコンテンツに簡単にアクセスできる時代ですから、本や映画で楽しむしかなかった昔と違って、あまり映画にそういうのを求める人もいないのでしょう。
映画館で少年がシコシコやってた「ニュー・シネマ・パラダイス」のような時代ではもうないのです。
もちろん、フェミニズム運動の波を受けて男性が理想とするラブロマンスは確かに減ったかもしれないし、ポリコレ機運が高まりすぎて制作側が意識しすぎている面も否めない。
かと言って観客側も結構影響を受けているので、昔のままをお出しすると普通にウケない可能性も高い。
様々な要因があるでしょう。
そんな中でこの「恋するプリテンダー」は、なぜかアメリカで大ヒットを飛ばしたという。
今もっとも推されているスター俳優候補のシドニー・スウィーニー&グレン・パウエルの最新作で、あらすじからもわかるように00年代を彷彿とするような典型的ラブコメロマンスだ。
有名ミュージカルを映画化した感動作「アニー」や、世界的マスコットをブラックジョークたっぷりに実写映画化した「ピーターラビット」などのウィル・グラックが自らの原点とも言える低偏差値のラブコメに帰還。
大好きだというオーストラリアを魅力たっぷりに伝える観光映画の側面も強く、なんだか20年前の映画を見ている気分になった。
出演者は男も女もみんなイケイケ。
顔も身体もセクシーオブセクシーしかいなくて画面がキラキラ眩しい眼福映画。
中でもプロデューサーも務めるシドニーちゃんが己のダイナマイトバディを惜しげもなく披露。
私が好きでやってるのでやれるところまでやりますと言わんばかりに様々な姿を見せつけてくる。
「マダム・ウェブ」で彼女に気づいて過去のセクシーなドレス姿等をググっていた人には夢のようなムービーではなかろうか。
「トップガンマーヴェリック」でトム・クルーズのお気に入りになったグレン・パウエルもその肉体美を惜しげもなく披露。
もちろんトムには及ばないが、トム適性の高い顔面とキャラクターでその後継に食らいつく。
家に呼ばれて俳優の授業を受けたり飛行機から落ちたりバイクに乗ったり、トムから様々な影響を受けているせいか、かなり彼を意識している雰囲気を随所から感じる。(次回作「ツイスターズ」も期待)
中でも気に入ったのがそのグレン・パウエルの元カノ役で出演したチャーリー・フレイザー。
初登場からいきなりトップレスを披露し、その美しいスタイルと個性的な顔面で強烈な印象を残した。
本作では奔放なお姉さんというすごく健康的エッチなキャラだったが、同じオーストラリアを舞台にしたジョージ・ミラー監督の「フュリオサ」ではその個性的な顔と圧倒的目力で強靭さを感じさせる女戦士であるフュリオサの母を完璧に演じている。
オーストラリア出身のモデルさんなのでこのキャリアの積み方なのかもしれないが、真逆のキャラクターを見事に演じていて今後が非常に楽しみだ。
偽装カップルという体裁でいちいち同意をとりながらラブコメあるあるを実行していくフォーマットがこの大ポリコレ時代の観客にハマったのだろうか。
みんな本当はそういうのも求めてるけど、そんなこと大っぴらにしたらSNSで叩かれるかもしれないと。
白人が幸せを掴む脚本にしただけで理想の押し付けと言われる、 そんな世知辛い時代にこの手の映画を成立させるのは単にポリコレに迎合した映画を作るより難しいだろう。
でも映画の内容自体は脳みそ全停止で見られるのでご安心あれ。
ジャンル映画から逃げるな!