ご一緒にこちらの映画はいかがですか?

映画館で働きながら、たくさんの映画と映画を観る人を見つめています。

映画「ザ・キラー」(2023)

作品情報

原題:The Killer

監督:デヴィッド・フィンチャー

出演:マイケル・ファスベンダー/アーリス・ハワード/チャールズ・パーネル/ガブリエル・ポランコ/ケリー・オマリー/エミリアーノ・ペルニア/サラ・ベイカー/ソフィー・シャーロット/ティルダ・スウィントン

制作国:アメリ

上映時間:113分

配給:Netflix

年齢制限:PG12

あらすじ

暗殺を生業とする男は、いかなるときも完璧に任務を遂行してきた。しかし、あるミスをきっかけに窮地に立たされ、命を狙われる身となる。自分の代わりに襲われた妻を2度と危険にさらさないよう、彼は雇い主に、時には自分自身にも抗いながら世界を股にかけた追跡劇を繰り広げる。

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フィンチャー先生の新作が1週間限定公開で配信行き???

そんなわけないだろ?

いや、そのまさかなんです。

おかげで1日ダラダラしたかった休みに自分の尻を叩いてろくな時間にやってくれてない映画館に行ってまいりました。

だってNetflix展開のフィンチャーの新作が映画館で観られるなんて見逃す手はないもの。

 

内容は至ってシンプル。

完璧主義の殺し屋が仕事に失敗し、自らと愛する人に迫る危険から身を守るためそのスキルをフル活用する様を描く殺し屋密着ドキュメンタリーだ。

基本シリアスなのだが、間の取り方やナレーションで不意に笑わせにくる。

真顔でジョークを言う友達みたいなタイプの映画だ。

 

この殺し屋のこだわりが強いこと。

オープニングから殺しの仕事に関する変態レベルのこだわりを徹底的に描く。

殺しだけでなく朝のルーティーン描写やタンパク質を安く摂取するために買った朝マックのバンズを捨てて食べるなど、何につけても異様にこだわりが強い部分を見せるのはさながら殺し屋の日常系だ。

 

映画で見せるのは殺しの瞬間だけではなく、むしろその段取りがメイン。

情報収集はもちろん、ホームセンターで買い込みをしたり忍び込むためのアイテムをせっせと手作りしたり。

Amazonで買ったものを配達BOXに受け取りに行くシーンなんか一体何を見ているのかよくわからなくなりかけて最高だった。

 

世界中に用意しているというレンタル倉庫の隠れ家はワクワクするし、「トップガン マーヴェリック」でお馴染みになったチャールズ・パーネル演じる弁護士を殺しに行くシークエンスの変装潜入シーンは中学生の頃だったら大喜びしてたと思う。

帰り道のブラックジョークでユーモアのかけらも見せる余裕まである。

 

洗練された語り口と映像を生み出すフィンチャー先生が主人公並みに変態的なこだわりを見せ、ファスベンダーお得意の「崩さない演技」がそれを更なる高みへ引き上げる。

僕が滑り込んだ時点で最終日だったのでもう劇場では観れないかもしれないが、Netflixではそろそろ観れるようになるので是非ご覧いただきたい。