作品情報
原題:A Haunting in Venice
監督:ケネス・ブラナー
出演:ケネス・ブラナー/カイル・アレン/カミーユ・コッタン/ジェイミー・ドーナン/ティナ・フェイ/ジュード・ヒル/アリ・カーン/エマ・レアード/ケリー・ライリー/リッカルド・スカマルチョ/ミシェル・ヨー
制作国:アメリカ
上映時間:103分
配給:ディズニー
年齢制限:G
あらすじ
一線を退きベネチアで隠遁生活を送る名探偵ポアロの元に、霊媒師のトリックを見破るため降霊会に参加してほしいという依頼が入る。そこで人間には不可能に思える方法の殺人事件が発生。霊の仕業と皆が戸惑うなか、ポアロは真相究明に挑む。
水の都で見せるポアロの新たな一面
ケネス・ブラナーが監督と主演を努める名探偵ポアロシリーズの第3弾。
今回は「ハロウィーン・パーティー」というアガサ・クリスティが後期に書いた作品を原作としている。
しかもかなり大幅にアレンジしていて、舞台になる国すら違うがそこでベネチアを選んでいるのが見事にハマっていて凄い。
今回は妙にホラー風に作られていて、いつも理論的に事件を推理していくポアロが霊や超常現象と思わしき出来事を前に戸惑う姿もなかなか新鮮。
過去2作のように映像化歴がなくそんなに有名でもない原作を選び、ポアロの見たことがない姿を描いたのはケネス・ブラナーなりの3作目に対する工夫か。
推理ものなのであまり書きすぎるのも良くないので劇場で観た感想でいうと、霊と思わしき子供の声がしっかりサラウンドで劇場中を走り回っていたのが良かった。
最初は気のせいかと思うような音が無意識に聞こえていて、何か聞こえてると思ったところでポアロが「今何か聞こえたか?」と周りに確認する。
この絶妙な音の調整が楽しめたのは映画館という環境で見る醍醐味だろう。
豪華キャストのアンサンブルが推理映画の魅力というか持ち味なので、本作はそこがだいぶ弱く残念な感じが否めない。
印象的なところで言えば子役のジュード・ヒルがかなりいい味を出していて良かった。
調べてみたら同監督の「ベルファスト」で主人公を演じている子だった。
ケネス・ブラナーのお気に入りだ。
映画のスケールもかなりミニマムで、映画館的にもだいぶ期待できないタイプの映画になってしまっているが、こういう規模感の映画からしか摂取できない栄養ってあるよね。
ケネス・ブラナーが演じるポアロは回を増すごとに深みが増してどんどん好きになっていくし、まだまだ原作はたくさんあるのでこの調子でどんどん作ってくれてもええんやで。