ご一緒にこちらの映画はいかがですか?

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映画「結束バンドLIVE -恒星-」(2023)

作品情報

サウンドプロデューサー:三井律郎

出演:青山吉能鈴代紗弓/水野朔/長谷川育美/生本直毅/五十嵐勝人/山崎英明/石井悠也

制作国:日本

上映時間:117分

配給:アニプレックス

年齢制限:G

あらすじ

2023年5月21日にZepp Hanedaで開催された人気テレビアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」のライブイベント「結束バンドLIVE -恒星-」の模様を劇場公開。バンドメンバーの声を担当する声優たちが生バンド演奏をバックにアニメの劇中歌を披露する。

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あのライブに行けなかった人は必見の総集編映画CM映画

「ぼっち・ざ・ろっく!」

はまじあきによる4コマ漫画を原作に2022年10〜12月に放送されたテレビアニメは、極度に人見知りな少女が加入したバンドの個性的なメンバーと共に成長していく姿を描き人気が爆発。

SNSの毎週トレンド入りはもちろん、ニュース番組などでも特集が組まれ、新曲は出すたびに各種音楽チャートで首位を獲得。

楽器を始める人も続出し、令和の「けいおん!」と呼んでも過言ではない一大ムーブメントを巻き起こした。

 

僕も「ぼっち・ざ・ろっく!」は大好きで、新進気鋭の天才斉藤圭一郎監督による見事なディレクション、アニメジャンキーのけろりらさんの卓越した絵の表現、絵に止まらない様々な描写が取り込まれアニメーションの自由度と可能性を感じさせる演出にただものではないアニメだと感銘を受けた。

 

本作はアニメ放送後に行われたリアルライブイベントのBlu-ray発売を記念して先行上映するというODS企画だ。

ODSとは"Other Digital Stuff"の略で、「映画以外のコンテンツ」という意味。

近年スポーツやライブの中継、舞台や落語、ゲームイベントまで様々なコンテンツを劇場スクリーンで上映し、映画館の新たな収益源として注目されている。

僕はライブには行かなかったが、ライブイベントの映像がDCP化され上映されるという「異例」の事態に興味を引かれて劇場まで観にいくことに。

 

足を運んだのは立川にある映画館シネマシティ。

ここは昔から音にこだわりの強い企画担当者による「極上音響上映」が有名で、およそ映画館にはオーバースペックのスピーカー(東京ドームやディズニーランドのパレードで使うようなもの)を使用し、有名な音響のプロに映画を観せて映画の音の魅力を最大限に引き出してもらっている。

ここは実力のある映写技師がいる今や貴重な映画館で上映のクオリティも基本的に高いのでよく利用しているのだが、今回はライブハウスの音圧の再現と聴きやすさのバランスを両立していると思いやってきた。

 

結論から言うと大当たりで、「恒星」を観るならここで間違いないだろう。

現地にいたわけではないので他のライブ経験からの発言だが、Zepp参戦の再現度で言えばおそらく一番ではないだろうか。

楽器が大きいのにボーカルが潰れることもなく、ライブイベントと映画館のいいとこ取り。

ライブイベント特有の色々な音がゴチャ混ぜになったあの空間と終わった後の疲労感。

空調が効いて快適で汗だくになるほど体が熱を帯びることはないが、それ以外はほとんどライブ会場体験の再現だ。

 

そしてあの最後の来年春・夏に上映される総集編劇場版の予告は多分円盤には入ってないのかな?

あれのせいで急にこの映画がそれに向けた2時間のCMだったような感じがしてくる。(最後にムビチケの販売情報をつけるのがさらにそれを助長。本編前にやれ)

あのCMも地味に音がしっかりサラウンドで分けられてたので右からぼっちちゃんのギターが聞こえてくるあの体験は劇場ならではだ。(そこか?)

何より一番最後に前売り券発売中の案内が出るから、あそこで一気に予告編感が出てめっちゃ長い予告だったのではないかという錯覚を覚えるに至った。

それはいいのか?

 

Blu-rayが発売すれば家でも見られるようになるが、現地の音量に限りなく近い状態であのイベントを味わえるのは恐らくこの上映が最後。

そもそも現地参加以外で超大音量のライブを体感できる事なんてほぼないし、「ぼっち」くらい盛り上がった作品だからこの待遇。

現地にいてあの感動が忘れられない人も、落選して行けなかった人も、こんなチャンスは滅多にないので気になっている人は観にいくが吉です。

立川が近所じゃない人も、是非。