作品情報
原題:Clover & Carnations
監督:ベキル・ビュルビュル
出演:シャム・シュリット・ゼイダン/デミル・パルスジャン/バハドゥル・エフェ/タシン・ラーレ/イート・エゲ・ヤザール/セルチュク・シムシェック/フラート・カイマック/エミネ・チフチ/セルカン・ビルギ
制作国:トルコ・ベルギー合作
上映時間:103分
配給:ラビットハウス
年齢制限:G
あらすじ
荒涼とした冬のトルコ南東郡。年老いた男性ムサは他界した妻の遺体を故郷の地に埋葬する誓いを果たすため棺を背負って旅をしている。孫娘のハリメは紛争地である故郷に帰りたくないが、親を亡くし仕方なくムサと旅を続けていた。彼らは旅の途中で様々な人と出会い、彼らの言葉を受け取りながら進み続ける。
言葉ではなく映像で問いかける詩的なトルコ映画
珍しく銀座でぶらっとしていたら、ふと映画を観たくなった。
銀座・有楽町エリアには映画館がいくらでもあるのでチョイスには困らない。
大手シネコンはどこも同じようなラインナップだが、この日は普段なら観ないような、この場所でこの思いつきだからこその偶然の出会いを求めていた。
そして目に止まった映画がこちら。
公開初日で時間もちょうどよかった。
ヒューマントラストシネマ有楽町にてチケット購入。
ここのチケットカウンターでスタッフも椅子に座って何やらパソコンを触っている。
いらっしゃいませもなく無言で立ち上がるとこちらが作品名を言うのを待っている。
普通のシネコンに慣れすぎて変な間が出来てしまったが、別に映画館に立派な接客を求めてはいないのでまあいい。
第35回東京国際映画祭に「クローブとカーネーション」という題名で出品された映画らしい。
妻の棺桶を担いだ老人と孫が故郷を目指してひたすら歩く、非常に詩的でゆったりとした時間が流れる映画。
先々で出会う人は二人の代わりに多弁で、取るに足らない話からちょっとした気づきを観客に思わせるような話まで、様々な会話が展開される。
老人と孫はというとほとんど会話はなく、孫は行きたくもない旅について来させられたのにことあるごとにおじいちゃんに怒られて、何だか不憫だ。
時折会話の中で様々な人の死生観が語られ、映画の構成自体がそれを表現しているようでもある。
最小限の会話と映像で何かを暗示している事はよくわかったが、ともすれば非常に難解で伝わりにくいところがある。
さっぱり合わない人もたくさんいるだろうが、映画館だからこそ観れる映画だと思うので僕はこういう映画はなるべく観ておくようにしている。