ご一緒にこちらの映画はいかがですか?

映画館で働きながら、たくさんの映画と映画を観る人を見つめています。

2023年上半期映画マイベストをまとめたよ

2023年の上半期(1月1日〜6月30日)は123本の映画を観た。

劇場で観たのは44本。「アイカツ!」みたいな同じ作品を何回も観たのも含めたら60回くらい劇場で観たと思う。

仕事が忙しくペース的には少なめだけど、そんな中からマイベスト映画を10作品選ぶよ。

順位をつけるのもアレなので観た順でいくよ。

劇場体験に基づいた選抜なので、配信作品は新作でも劇場で観てないものはこの10選からは省いてるよ。

 

 

アイカツ! 10th STORY 未来へのSTARWAY

ハイもういきなり出ましたね。

職場のみんなと出し合うと大体「出オチじゃん!」「はいはい乙」という声が上がる。

でも実際良かったから......10年選手のアイカツ民にこの上ない正解の完結編を出してくれたから。

僕がこれを選ばないと、この十選全てが「嘘」になってしまうから。

日本はテレビアニメの劇場版において必ずし劇場クオリティになっているとはいえず、特に音響はTV作品の域を出ない。

正直な話この作品もその例には漏れず、編集して繋げた全3話の話数ごとに音のレベルが微妙に違っていて映写チェックには苦労した。

ただ、しっかり箱に合わせて仕上げた音場で聞くアイカツ楽曲は涙が出るほど素晴らしく、今後どんなにしっかりした環境を整えて観てもこの感動を超える事はないだろうという最高のアイカツ体験を僕は得ることができたと思っている。

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フェイブルマンズ

ここ数年、著名な映画監督の半自伝的映画がたくさん公開された。

そんな中でも特に美しくお気に入りの一本になったのがスピルバーグ監督の「フェイブルマンズ」だ。

自身が映画監督を志した経緯とその過程、映画作りの喜びと映画が持つ力、そのいい面と悪い面を描いている。

自らが与えられた才能は人を幸せにすることも不幸にすることも出来るという自覚と、才能を持つものはそれを正しく使わなければいけないという強いメッセージも感じる。

非常に個人的な物語に徹しながら、映画としての面白さがきちんとありクオリティも担保されている。

スピルバーグという人間に興味がない人でもぜひ観てもらいたい映画だ。

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ノートルダム 炎の大聖堂

ジャン=ジャック・アノー監督がノートルダム大聖堂の火災事件を後世に残すことに成功した映画。

諸説ある火災原因の扱いも公平に徹するような意識が強くみられ、火災発生から鎮火までの経緯や、消防隊や大聖堂の職員など数多くの人々の尽力が記録されている。

一般人から集めた当時のスマホ映像やニュースなどの報道映像と、精巧に作り出したセットで撮影された映画用の映像を巧みに編集した監督の手腕がお見事。

映画館でダイナミックな映像と音響を楽しめる素晴らしい映画だった。

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AIR/エア

伝説のバスケシューズ「エア・ジョーダン」を誕生させた人々の物語を軽妙に脚色してドラマ化した映画。

マット・デイモンベン・アフレックの仲良しコンビを中心に素晴らしいキャストとスタッフが揃い、古き良きドラマ映画のノリを久々に摂取した。

何よりDCヒーロー映画で散々な目にあったベン・アフレックが楽しく仕事ができたという話が聞けたのも嬉しい。

Amazonプライムビデオですぐ見られるようになったので、この夏休みにすぐ見ることができる。

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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

やはり2023年の映画興行を語る上でこれは外せないですね。

世界中で圧倒的な記録を残しまくった魔界帝国ではない方のマリオ映画。

日本でも100億円をとうに超え、後悔から3ヶ月経った今でも常にランキングのTOP10に君臨。

アニメーション映画としてはもちろん、実写映画を含めても遜色ない記録を残している。

イルミネーションスタジオが作るアニメのクオリティの高さはもちろん、マリオブランドの世界的な知名度を認識できるのもなんだか嬉しい。

最近長い映画がとにかく多いが、90分でしっかりカタルシスを得られる作りも評価が高い。

夏休み興行に切り替わっているがまだ上映している映画館は多いと思うので、ファミリーでまだ観てない人には特におすすめしたい。

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EO イーオー

飼い主の元に帰ろうとするはぐれロバの旅路をひたすらロバ目線で描いた異色作。

結構見る人を選ぶアート系ミニシアター映画なのに初日からしっかり全ての回が満席になって驚いたのが記憶に新しい。

ロバはいい人にも悪い人にも出会うが、一貫してロバ目線で描かれる人々は誰もが身勝手というか、ロバには人がロバに投影するイメージを押し付けられるしかないのかとしみじみ思う。

変な映画だし人を選ぶが、クオリティの高いすごい映画なので観て間違いはない。(あとは合うか合わないかだ)

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TAR ター

十選という形で順位はつけない趣向の記事だが、この映画は今年の上位3番以内には絶対食い込むと思うくらい気に入っている。

徹底的にこだわり抜かれた映像。

シンプルで抑制の効いた演出のドラマ映画ながら優れた音響設備の劇場で聴きたい素晴らしい音の効果。

主人公の歩む人生とその行き着いた結末。

全てが僕の好みにハマっていた。

2時間半の尺は長いと感じるかもしれないが、ケイト・ブランシェットのキャリア最高レベルの仕事を見られる時間としては一瞬では?

超おすすめです。

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雄獅少年 ライオン少年

最近とある理由で国内上映が増えてきた中国アニメーションだが、なんでもかんでも公開している訳ではなくもちろん一定のクオリティが担保されたものが入ってきていると思う。

その中でも本作は万人受けする熱血スポ根物語と急成長する中国社会の犠牲になっている人々の姿を描いた社会派の側面のバランスが非常に良く、世界で戦う力があると感じた。

予告編は微妙に惹かれないし、決してキャッチーで今どきなキャラデザでもないが、観て損はしないのでどこかで機会があったらぜひ挑戦してほしい。

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スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース

そのあまりのクオリティに開始15分のオープニングシークエンスだけでもう映画一本分の満足とカタルシスを得てしまった衝撃のアニメ。

CGアニメーションというジャンルに新たな概念を生み出し多くのフォロワーを産んだ前作だったが、本家を超えるのは本家しかいないと言わんばかりに伝説を自ら更新した奇跡の続編。

世界では大記録を打ち立てたものの、やはり日本の興行は伸びないままほとんどの映画館で上映が終了。

作品の出来に見合わない結果になってしまったが、それでも僕は今年のトップ級だと推していきたい。

2部作後編となる次回作もこの数字の後では...と全く期待できないが、それでも...それでもいい映画なんや......

観る人が観たら人生が変わるくらいには凄いんや......

アニメでもこのクオリティでの劇場公開なら実写ハリウッドと遜色がないという基準にしていい作品です。

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君たちはどう生きるか

まあやっぱ、選んじゃいますよね。

歴戦のスーパーアニメーターたちが集まって宮崎駿最後の(と思われる)旅路につきあい見届けた巨匠の終活映画。(と思っている)

いよいよ明明後日からパンフレットが発売するようで、Webでみんながなんとなく自粛しているネタバレとかも解禁されていくのかな?

相変わらず予告編やクリップを解禁する気配は感じられず、引き続きお年寄りには届かない感じになるかな?

客層を見ていても圧倒的にネットが使える若者中心になってるんですよね、この作品。

お年寄りにとっていかにテレビが情報源であるかが痛いほど身に染みます。

まあ息の長い興行になると思うし幸い弊社はお客さん来てくれている方なので、このままじんわり混んでる状態が長く続けばいいな。(急激に混みすぎると嬉しい反面やはり身体は大変ですので)

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以上、僕の2023年上半期の十選でした。

興味がある作品は劇場でかかってるなら是非足を運んでいただいて、もう終わってたら配信やレンタルで見ていただければと。

あまり意識してなかったけど、やっぱ映画館で働いてるんだし映画館で観てほしい映画って感じで選んだ方がいいのかしら?

下半期もたくさん観ていきたいけれど、最近は「デッドレコニング」と「トランスフォーマー」しか観れてない。

夏休みは忙しいから映画を観る時間を捻出するのも大変で・・・

たくさん観られるのは落ち着いた秋頃からかなぁ。

でも取り急ぎ「マイエレメント」は観たいですね。

 

では、よき映画ライフを!