ご一緒にこちらの映画はいかがですか?

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映画「ロスト・フライト」(2023)

作品情報

原題:Plane

監督:ジャン=フランソワ・リシェ

出演:ジェラルド・バトラー/マイク・コルター/ヨーソン・アン/ダニエラ・ピネダ/トニー・ゴールドウィン

制作国:アメリ

上映時間:107分

配給:ポニーキャニオン

年齢制限:PG12

あらすじ

年の瀬の空港。ブレイザー119便のトランス機長はアメリカで待つ家族の元に戻るため飛行機を操縦する。しかし、悪天候に見舞われ落雷でコントロールを失った航空機は、フィリピンのホロ島に不時着。乗客17名は一命を取り留めたが、そこは反政府ゲリラの支配する無法地帯だった。ゲリラに捕らわれた乗客を救うため、トランス機長は乗客の一人で移送中の殺人犯ガスパールと手を組むことになる。

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もはや安心感しかないジェラルド・バトラー印のアクション映画

ジェラルド・バトラーのアクション映画といえば、今や年に2本は公開されてるんじゃないか感じるくらい我々映画ファンには身近な存在となっている。(よね?)

 

2ヶ月くらい前に封切られたものの見逃してしまった「カンダハル」に至っては、もう今月にはAmazonプライム・ビデオで見られるというのだから凄い時代になったものだ。

まあ、これは劇場で観たいので家で見るかはわからないのだけど。

 

そんなジェラルド・バトラーの「ロスト・フライト」は、U-NEXTのポイント消費と週末アフター5の娯楽にもってこいのシチュエーション映画。

操縦していた飛行機が武装勢力の占領地域に不時着してしまった機長が、乗り合わせていた殺人犯と協力して捕らわれた乗客を救出し脱出するというB級アクションスリラーだ。

 

興味深くも無茶苦茶な設定で、乗客やテロリストにドラマはなく物語には何の深みもない。

ただ単純明快にあらすじで興味を持った人が見たいことを追求したご都合主義連発の火の玉ストレート映画だが、それがまた程よい。

 

乗客を守る責務を全うするためにパイロットとは思えない激戦を繰り広げるトランス機長は、いちパイロット離れした強さと強面だが別にそんなめっちゃ強いわけじゃない。

程よい強さと頼もしさと応援したくなる愛嬌を兼ね備えた絶妙なバランスを保つジェラルド・バトラーという俳優だからこそ出せるこの味わい。

近年この手のアクション映画に引っ張りだこだが、似たような道を歩むリーアム・ニーソンと違って打率がいいのが頼もしい。

 

機長とバディを組む殺人犯のガスパールも最初は何を考えているのか分からず怪しい雰囲気なのだが別に何もなく、めっちゃ頼れるただのいいやつだったので笑った。

殺人犯と手を組んでテロリストと戦うといういいフックが付いた脚本なのに出てくるやつ全員いいやつってどういうことなの。

そして肉団子つなげたみたいな腕の筋肉がものすごいのでしっかりとその目に焼き付けてほしい。

 

アクションの撮り方、これがまたいい。

流石「アサルト13要塞警察」のジャン=フランソワ・リシェ監督というべき臨場感あふれるショットと編集だ。

後半登場する航空会社が雇った傭兵派遣会社の傭兵たち(航空会社が雇った傭兵ってなんだよ)がとてつもなく頼れる男たちでかっこいい。

映画の主人公なので機長も何故か巧みな銃捌きで敵を倒していくのだが、彼らが出てくると急に素人に見えてくる。(そんなジェラルド・バトラーの絶妙な演技がいい)

予告編でもチラと見られるが傭兵たちのプロいタクティカルな動きで武装勢力たちは赤子のように捻られていく。

 

クライマックスはキチンと原題が「Plane」である事を思い出させてくれるのも微妙に気が利いてる。

 

60点の映画を期待していったら68点くらいのをお出しされたような気持ちになるので、この手のアクション映画としては非常にいい。

映画館マジックのおかげでなんとか観られる物になってる気がする、という意味でも非常に映画館向きだ。

覚えやすい顔、どれも観るとそれなりに面白さが保証されたアクション映画キャリア、つい応援したくなってしまうスター性。

世間はもっとジェラルド・バトラーの魅力に気づくべきだとは思わんかね?