作品情報
原題:The Equalizer 3
監督:アントワーン・フークア
出演:デンゼル・ワシントン/ダコタ・ファニング/デビッド・デンマン/ガイヤ・スコデッラーロ/レモ・ジローネ/エウジェニオ・マストランドレア/アンドレア・スカルドゥッツィオ
制作国:アメリカ
上映時間:109分
年齢制限:R15+
あらすじ
シチリアの事件で負傷したマッコールは、アマルフィ海岸沿いの静かな田舎町にたどり着く。身内のように暖かく接してくれる人々に身も心も救われた彼は、この町を安住の地にすることを心に誓い、イコライザーのスイッチともいうべき腕時計を外す。しかし、町に悪の手が迫る時、マッコールは大切な人々を守るため再びイコライザーとなる。
舐め殺四天王マッコールさんの最終章はまさかの「人と町」映画
かつて、舐め殺系映画(舐めてた相手が殺人マシーンでした系映画)と呼ばれたジャンルがあった。(今もあるのか?)
それらは世界のボンクラ映画オタクを魅了し、中でも「ジョン・ウィック」はアクション映画の歴史を現在進行形で更新し続けている。
「ジョン・ウィック」が激しさを増し苛烈な戦いに身を投じていく一方で、我らがデンゼル・ワシントンと信頼のおける盟友アントワーン・フークアが紡ぎ続けてきた「イコライザー」ロバート・マッコールの人生は真逆のアプローチで描かれていく。
自らのスキルを人のために使うことに囚われ続けていたマッコールさんが、負傷をきっかけに訪れたイタリアの田舎町で人々の温かさに心を溶かされていく様子が描かれる。
それは、1、2作目と同じ「アクション映画」と呼んで良いかがわからなくなるほど、(それこそジョン・ウィックとは対照的に)静の演出を強調する。
白い壁の家と石畳の狭い路地が入り組むイタリアらしい美しく素朴な田舎町、その見え方がマッコールさんの変化に合わせて変化する演出がいい。
最初は監視カメラを気にする様子を見せたり町や人々がどこかソリッドな雰囲気で描かれるが、それが徐々に温かみを帯びていき、再び戦いに身を投じる際はまた違った景色として映し出される。
これまでのシリーズのような作品を期待していた人には少し梯子を外されたように感じる人もいるかもしれないが、これはもはや怒りと義務感で世界を良くするため闘い続けて来た自らの業に向き合うマッコールさんの内省的なドラマを軸にした終活映画なのだ。
悪を倒すも孤独を見つめるどこか悲しげな結末が続いた過去作と、今回のマッコールさんが迎える最後とを対比するとフークア監督とデンゼルの親心がこの結末にマッコールさんを導いてあげたかったのだなと思わずにはいられない。
「ラスト、正義が一線を越える」というコピーは正直1作目からだいぶ怪しかったのでなんだか今更感があるが、なまじ激しさが抑えられたせいでむしろ過去一サイコパスなマッコールさんだった事は言及しておきたい。
素敵なシリーズに仕上げてくれて、本当にありがとうございました。