作品情報
原題:Bullet Train
監督:デヴィッド・リーチ
出演:ブラッド・ピット/ジョーイ・キング/アーロン・テイラー=ジョンソン/ブライアン・タイリー・ヘンリー/真田広之/マイケル・シャノン
制作国:アメリカ
上映時間:126分
配給:ソニー・ピクチャーズエンターテインメント
年齢制限:R15+
あらすじ
あるブリーフケースを盗むよう指令を受け、東京初の超高速列車に乗り込んだ世界一運の悪い殺し屋レディバグ。盗みは成功したものの、殺し屋たちに次々と襲われ降りるタイミングを見失ってしまう。襲い掛かる彼らと死闘を繰り広げる中、次第に浮かび上がる殺し屋たちとの過去の因縁。そして列車は世界最大の犯罪組織のボス、ホワイト・デスが待つ終点の京都駅へ向かって加速していく。
ソニピクユニバースと化したヘンテコ映画だが、その存在がありがたかった
伊坂幸太郎の著作「マリアビートル」を原作とし、新幹線的高速鉄道内と日本各所を舞台にしたことで日本でも大きく取り扱われた本作。
ネオンがギラつき桜咲く、そんなヘンテコ日本描写で苦笑いなのはいつものことだが、昨今では新宿に開業した全席4500円からで話題になった109シネマズプレミアムを擁する「東急歌舞伎町タワー」2階の屋台街からもわかるように、むしろ日本の方があのイメージに合わせに行ってる雰囲気すら感じる。
映画の内容としては「伊坂幸太郎っぽさ」が良くも悪くも再現性高く、言葉を選ばずにいえば後出し設定が出てきて「実は彼らにこんな繋がりがありました。すごいでしょ?」みたいな展開を連発されるので好きな人は好きだし苦手な人は一生苦手そうな脚本。
だが、デヴィッド・リーチ、ブラッド・ピット、ソニー・ピクチャーズ、これらの要素に引っかかる俳優を片っ端から集めたソニピクユニバース(ソニースパイダーマンユニバース通称SSUってのもあったね)、とも呼ぶべきゴージャスな映画。
リーチ監督作「デッドプール2」へブラピが2秒カメオ出演したお礼にライアン・レイノルズが「ブレット・トレイン」へ出演したことはよく話題になるが、同じくらいSPE製作映画「ザ・ロストシティ」繋がりでサンドラ・ブロックとチャニング・テイタムが出演してくれていることも熱い。
「ザ・ロストシティ」観といてよかったと思ったし、ほとんどブラピユニバースの終着点だと言ってもいいかもしれない。
俺たちのペーパーボーイことブライアン・タイリー・ヘンリーや「TENET」で死ぬほどかっこいいタフガイになってて昔のナードなお前はどこいった状態のアーロン・テイラー=ジョンソンなど豪華俳優が入り乱れる。
途中立ち寄った米原はそのビジュアルと新幹線が停車すること、そして乗り込んでくる真田広之御大という大きな扱いで話題をさらい、ラスボスはまさかのマイケル・シャノンでリーチ監督らしいド派手アクション。
しかも一番いいところで流れる大黒摩季で発生する謎のカタルシスは間違いなくこの映画でしか得られない栄養だろう。
まだコロナ禍の先も見えず、予告編の最後に出る「近日公開」の文字を恨めしく眺めていた時期。
こんなバカになって楽しめる、ブラピ筆頭にスター俳優大集合な典型的ハリウッドスタイルのヘンな映画を劇場で拝めることには素直に幸せを覚えた。
コロナ最初の年の「TENET」や「トップガン マーヴェリック」でも感じた幸せ。
アニメはいつでも人気で経営を支えてくれるし、邦画も悪くはないのだが、入る入らない、つまるつまらないに関わらずこういった洋画をかけられることに、映画館に勤めるものとしては(一瞬とはいえ)あるべき姿が戻った喜びや感謝を感じる。
公式サイトにてマジでエンディングまでの全ストーリー、伏線、キャラの相関図を文章や図解で解説するいわゆる「ネタバレページ」の存在には疑問が生まれた。
そんなに複雑な映画でもないし劇中でやりすぎなくらい説明口調だったと思うのだが、ああいったものを映画公式が作ることも珍しかったのでよく覚えている。
間口を下げてたくさんの人に観に来てほしいと思う配給側の施策だったのだろうか。
その是非はおいといて、深いことを考えず誰でも楽しめる娯楽映画なので、気楽に見るとよろしです。
ていうかデヴィッド・リーチくん、「緋色の弾丸」観たよね???