ご一緒にこちらの映画はいかがですか?

映画館で働きながら、たくさんの映画と映画を観る人を見つめています。

映画「ドミノ」(2023)

作品情報

原題:Hypnotic

監督:ロバート・ロドリゲス

出演:ベン・アフレックアリシー・ブラガー/J・D・パルド/ハラ・フィンリー/ダイオ・オケニイ/ジェフ・フェイヒージャッキー・アール・ヘイリーウィリアム・フィクトナー

制作国:アメリ

上映時間:94分

配給:ギャガ、ワーナー・ブラザース映画

年齢制限:G

あらすじ

娘が行方不明になってしまった刑事のロークは、そのことで強迫観念にかられカウンセリングを受けていた。そんなある時、銀行強盗のタレコミがあり現場へ向かったロークは、そこに現れた男が娘の手がかりを持っていると確信する。しかし、男は周囲の人々を言葉で操り姿を消してしまった。打つ手がないロークは、占いや催眠術を熟知する占い師のダイアナに助けを求める。ダイアナはロークが追う男には脳をハッキングする力があると語り、混乱するロークだったが...

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ロバート・ロドリゲスが原点に立ちかえる超B級映画(と思って見た方がいい)

時が経つのは早いものでもう11月。

映画館の近況といえば、ゴジラが初週は頑張ってくれたけど、その後はぼちぼち。

前の記事で書いた通りの展開を見せており、ゴジラ以外の頑張りが微妙で総合的には苦しい時期と、そんな感じになっております。

そんな時期でもなんとか営業するのが映画館。

年中無休で観たい時に映画を観られる文化を絶やさないため、努力を惜しんではいけないのです。

 

さて、そんな時期ですが僕は「ドミノ」を観ました。

こんな時期にこんな映画やってる場合じゃねえだろ!いや、こんな時期だからこそなのか???

と言いたくなるいわゆる「売れないのは目に見えてるけどこういう映画を上映することには意義がある」系映画。

だって監督はあのロバート・ロドリゲス

メキシコから来た煌めく才能の完全オリジナル新作映画なんだもの。

 

最近は「アリータ:バトル・エンジェル」や「マンダロリアン」「ブック・オブ・ボバ・フェット」といった「スター・ウォーズ」シリーズに携わるなどデカい仕事が多かったが、そもそもはギター型マシンガンみたいなアンポンタン小道具が登場するアクションが得意なB級映画監督だ。

一時期は「スパイキッズ」シリーズでメジャーに躍り出たし本当に何でもこなす男だが、今回は原典に立ち返っている気がする。

 

あなたは絶対騙される系の謳い文句と硬そうな予告編で「インセプション」や「レミニセンス」的映画っぽさを出しているが、もうその時点であなたは騙されている系B級映画だ。

あらすじ以上のことを喋ったらもう面白くなさそうなので何も言えないが、とにかく二転三転して先を読ませない的な感じを目指した作品なのだ。

 

結論から言うとツッコミどころは満載だし脚本で感心するタイプの映画にはなれてないのだが、映像の雰囲気は違えどロドリゲスオリジナルのB級映画と考えれば十分な出来ではある。

なんか途中から午後ローを見ているような気分になってきた。

「レミニセンス」と違い94分で終わってくれるところも己を知り弁えてる感じで好感。

ベン・アフレックアリシー・ブラガといった名俳優の演技が映画の大部分を支えてくれている。

中でも娘役のハラ・フィンリーの只者じゃない感じが伝わるお芝居は見事。

一度見たら忘れられない類稀な顔面を持つ俳優ウィリアム・フィクナーも最高にポテンシャルを引き出せていて悪役として光り輝いていた。

映像作品だからこその見せ方に対するこだわりも随所に見られ、仕事終わりにさっくり見る気軽な映画にもってこいだ。

 

大作映画っぽい雰囲気出してるのにグラスに小便とかなんかいい感じに牧場主のジジイとかちょいちょいロドリゲスを感じられるので、ダメな息子に愛情を注ぐ親の気持ちで見てしまう。

 

秋の映画館は苦しい。

でも愛すべき映画はかけたい。

そんな葛藤の中で映画館は動いている。

だから皆さん、気が向いたら観てあげてください。

多分家で見ても微妙な映画なんで、「映画館で見た効果」が付与されるくらいでちょうどいいので。

 

え、もうほとんど上映終わってる?

そっ、そんな......