作品情報
原題:Lars and the Real Girl
監督:クレイグ・ギレスピー
出演:ライアン・ゴズリング/エイミー・モーティマー/ポール・シュナイダー/ケリ・ガーナー/パトリシア・クラークソン
制作国:アメリカ
上映時間:106分
配給:ショウゲート
あらすじ
雪の降る田舎町に住む26歳のラースは、純粋で心優しく町のみんなに好かれていたが、女性と話すのが大の苦手。兄夫婦が住む家の裏にあるガレージに一人で住み限られた人間関係しか築けないラースを家族は心配していた。そんなある日、ラースが「彼女のビアンカを紹介する」と兄夫婦に伝える。ラースの報告に喜ぶ二人だったが、車椅子に乗って現れたビアンカはアダルトサイトで販売されている等身大のラブドールだった。
突飛なあらすじからは想像できないが、人の優しさと心が成長する瞬間を繊細に描いた感動作
「ブルーバレンタイン」「ドライヴ」「ラ・ラ・ランド」など、近年は話題作への出演が続く実力派俳優ライアン・ゴズリング主演作。
監督のクレイグ・ギレスピーはこの後「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」「クルエラ」などの傑作を連発する天才。
かなり個性的なあらすじだが、主演のライアン・ゴズリングと脚本がアカデミー賞やゴールデングローブ賞を始め、様々な賞でノミネート、受賞を重ねた映画だ。
映画はラースの成長物語で、ラブドール相手に繰り広げる妄想劇の展開で彼の心の状態や成長度合いを示す脚本力が高すぎてビビった。
ラースの奇行に最初は戸惑う町民たちだが、あのラースのためだからとラブドールを受け入れる。
彼らの根底にある優しさがきちんと描けているから、ホラーにもコメディにもならない。
一歩間違えば犯罪者予備軍にしかならないラースという役柄から邪さを排除し、その行動心理の奥底にある悲しみや恐れを見事に表現したライアン・ゴズリングの演技が大変素晴らしい。
中盤の「他者のために善い行いをできるのが大人だ」というセリフに全てが詰まっている。
他者の価値観を受け入れる優しい世界を提示するが、それが正しいと押し付けがましくない控えめなところもこの作品の良さだ。
とんでもない名作です。