作品情報
原題:Mid90s
監督:ジョナ・ヒル
出演:サニー・スリッチ/キャサリン・ウォーターストン/ルーカス・ヘッジズ/ナケル・スミス/オーラン・プレナット
制作国:アメリカ
上映時間:85分
配給:トランスフォーマー
年齢制限;PG12
あらすじ
母子家庭で育った13歳のスティーヴィーは体の大きな兄に敵わず、いつか大きくなって見返してやりたいと考えていた。街のスケートボードショップに出入りする少年たちと知り合ったスティーヴィーは、自由でクールな彼らに憧れ仲間になるため近づこうとする。
アメリカを代表する名脇役ジョナ・ヒルが驚きの才能を発揮した初監督作品
かつて「デブの童貞コメディだけでなくシリアスな演技も俺はできる」と言い、それを証明してアカデミー賞に何度もノミネートされた名脇役のジョナ・ヒルが自らの少年時代の思い出を基に作り上げた青春ドラマ。
ぜひ観て確認してほしいのだが、ジョナ・ヒルは本当にこの映画を撮りたかったんだなということが伝わってくる。
全編16mmフィルム撮影にこだわり、90年代の質感を演出する映画としてはいきなり最高峰のクオリティでお出ししてくる。
無用なウケ狙いのシーンや変な色気はなく、13歳の少年が4〜5歳上の兄貴分に感じる憧れや仲間内のマウンティング、嫉妬、絆、閉塞感、焦燥感、今思えば痛々しい背伸びした子供のイキリ、この歳の頃に感じたことがある感情や風景の全部を凄まじい生々しさで見せつける衝撃の青春追体験映画。
10代特有の大人の仲間入りをしたような気になる喜びも恥ずかしい姿も痛い勘違いも全部が全部懐かしい。
グループの末っ子ポジを取り合う内輪揉めや喧嘩からの友情、あまりにも等身大の景色すぎて心を抉られるというよりはおろし金で削られていくタイプのダメージだった。
見せたいもの、語りたいこと、描きたいことを無理せず真摯に見せて85分の短尺でスパッと終わるし、劇中で流れる90年代ソングのチョイスもセンスがいいのも評価高い。
別に僕はイケてるタイプでもそういうのに憧れるタイプでもなかったが、それでもこの映画のあらゆる描写が胸に刺さるくらい誰しもが覚えのある普遍的な青春がこの映画にはある。
映る全てが愛おしく感じるのは監督自身が本気で愛おしいという気持ちで撮れているからに他ならない。
ジョナ・ヒル、オマエさん本当になんでもできるのね。