ご一緒にこちらの映画はいかがですか?

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映画「SOMEWHERE」(2011)

作品情報

原題:Somewhere

監督:ソフィア・コッポラ

出演:スティーブン・ドーフ/エル・ファニング

制作国:アメリ

上映時間:98分

配給:東北新社

年齢制限:G

あらすじ

ロサンゼルスにあるスター御用達のホテルでセレブ生活を送る映画スターのジョニー・マルコは、別れた妻の元で育った11歳の娘クレオをしばらくの間、預かることになる。ジョニーの自堕落で孤独な日常は一転し、娘と過ごす楽しく穏やかな日々の中で自分の生き方を見つめ直していく。

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ソフィア・コッポラの幼少期の思い出が下地になったオフビートな「そして父になる

偉大な映画監督フランシス・フォード・コッポラの娘で自身も「ロスト・イン・トランスレーション」などを手がけてきた映画監督ソフィア・コッポラが、映画スターの家族の絆や孤独を描いた人間ドラマ。

有名な映画監督である父との思い出や、母になった自らの経験をもとに製作されている。

 

とにかく子役のエル・ファニングが天使の可愛すぎて、こんな娘がいたら父親に目覚めてしまうのも仕方がない。

子供が親を親にするという点では福山雅治の「そして父になる」に近いものを感じるが、とりあえずエル・ファニングの神がかり的な可愛さを収めた貴重な映像記録としても優秀だ。

 

自らの過去を下地にしつつ娘の孤独の表現は最小限にしているのは自身の娘時代を思い出すからだろうか。

父コッポラのロケ先に同行してホテル暮らしをよくしていたといい、セレブ同士がホテル内ですれ違い交わすコミュニケーションなどはその時の記憶を基にしているのだろう。

 

映画は孤独がじんわり広がる虚無の生活を送る映画スターの父親の目線から描き出されていく。

美しい映像や音楽、父と娘のささやかな交流と繊細な感情の機微をしっかり感じる空気感を表現し切った演技、カメラはそれをきっちり収めている。

 

人生の帰路に立った主人公の最後の決断、これをソフィア・コッポラが描いたというところにまた色々と考えてしまった。

センチメンタルで美しい心が洗われるような、お気に入りの映画です。