作品情報
原題:The Little Mermaid
監督:ロブ・マーシャル
出演:ハリー・ベイリー/ジョナ・ハウアー=キング/ダビード・ディグス/オークワフィナ/ジェイコブ・トレンブレイ/ハビエル・バルデム/メリッサ・マッカーシー
制作国:アメリカ
上映時間:135分
配給:ディズニー
年齢制限:G
あらすじ
海の王トリトンの末娘で、世界一美しい声を持つ人魚姫のアリエル。人間界に憧れる彼女は、嵐に巻き込まれた人間のエリック王子を救うため陸に上がる。人間界への想いを抑えられなくなったアリエルは、海の魔女アースラと恐ろしい取引を交わし、美しい声と引き換えに3日間だけ人間の姿になる。人間になったアリエルはエリック王子に会いに行くが・・・
想像の範囲内の実写化だが、この世界に吸い込まれる美しさはあり
「アラジン」「ライオン・キング」に続き非常に原作に忠実な実写化。
アリエル役にアフリカ系アメリカ人の起用で何かと話題に事欠かないまま公開を迎えた。
初日3日間、僕はしっかり働いたのだが、動員的に「アラジン」ほどの勢いは残念ながら感じずなんともさみしい限り。
だが、ファミリーやカップル層、ディズニープリンセス映画とあって女性の比率も高めで久々にGW的な混み方をして、そういう意味では賑やかであった。
人種絡みの話題は抜きにしても、やはり様子見にしている人は多いと思うので2週目以降に口コミが広まれば良いのだが。
監督はミュージカルの名手ロブ・マーシャルとあって、視覚的にも大満足のミュージカルパート。
音楽はもちろんオリジナル作曲者にしてディズニーの生きる伝説アラン・メンケン先生、そして類稀な才能を持つ新時代の鬼才リン=マニュエル・ミランダという奇跡のコラボレーションだ。
特に前半は見せ場「アンダー・ザ・シー」を筆頭にビジュアル力が高い画面の連発で、これぞ実写化。
新人ハリー・ベイリーは伸びやかな美しい歌声で人魚としての説得力は十分。
音の作りからアリエルの声中心、というかこの声を聞かせるために音楽など他の音を意図的に下げてるくらい歌声を中心としたミックスがされていて、ここは珍しいなと。
ハビエル・バルデムのトリトン王もこの人以外にあり得ない貫禄。
圧倒的な演技力と存在感で作品のクオリティを引き上げたまである。
姉妹の設定やアースラの動機、エリック王子周りの描写が細かい設定改変で現代っぽくなっていて、物語的にも納得なのだが少し鼻につくところもある。
原作より48分も長く、第二幕では王子の心情の掘り下げや二人の仲が深まる過程がより丁寧に描かれたが、長くは感じなかった。
どうしても気になってしまったのがラストシーン。
詳しくはあまり書かないが、「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」に続き本作も水から上がってきたところでどうにも安っぽく感じてしまう。
ディズニー映画のこの問題だけはどうにかクリアできないか。
公式から「吹き替えと字幕どっちで見る?」という比較予告を作るほど「歌声」を全面に押し出しているが、個人的には字幕を押したい。
僕は洋画吹替が大好きだし、家で見るならほとんど吹替というくらいだが、ミュージカル映画に限っては字幕派だ。
本作は吹替版のクオリティも高いしファミリー客ならもちろんそっちの方がいいと思うが、僕はセリフパートでそこまで気にならなくても歌パートになると口の動きとの合わなさや歌詞の翻訳にどうしても違和感を覚えてしまうので、このジャンルにおいては字幕で見るようになった。
作品によっては吹替版で日本のスタジオを通った時に音のクオリティ下がる場合もあるからより純度が高いものを求めて字幕を見る・・・ということもしたりするけど。
まあここはお好みですね。
コロナ禍では劇場から遠ざかっていたディズニーだが、流石に「リトル・マーメイド」は劇場で観てほしいクオリティの映像と音で間違いない。
夏休み前の閑散期で寂しいので、ぜひご家族で映画館に観にきてください。(多分このままだと大きい劇場はすぐ別の作品になっちゃうので・・・)