作品情報
原題:And Life Goes On...
監督:アッバス・キアロスタミ
出演:ファルハッド・ケラドマンド/プーヤ・パイヴァール
制作国:イラン
上映時間:95分
配給:ユーロスペース
あらすじ
1990年イラン大地震後、「友だちのうちはどこ?」に出演した村人たちの安否を確認するためコケール村に向かったキアロスタミ監督親子の旅を再現するロードムービー。地震から半年後に実際の被災地で撮影を行い、当時イランの経済庁で働いていたファルハッド・ケラドマンドを監督役に据え、地震で崩壊した村の現状をありのままに捉えながら、人間の逞しさと生きることへの希望を映し出す。
映画の自由さを知った人生という旅の記録
アッバス・キアロスタミ監督が手がけた「友だちのうちはどこ?」は、イランのコケール村を舞台に、友達のノートを誤って持ち帰った男の子の冒険を描いており、出演者は全て素人の村人という映画だ。
そして本作「そして人生はつづく」は、あらすじに書いてある通り、90年にイラン北部を襲った大地震で被災地となったコケール村を訪れたキアロスタミが、その時の体験を映画として再現したものだ。
つまりこれはドキュメンタリーでありフィクションでもある。だがモキュメンタリーではない。
映画はそれなりに見てきたが、そんな映画にはあまり覚えがない気がする。(手法でいうとパリ行きのイーストウッドは近い?)
前作同様映画と現実の境界を曖昧にしていくキアロスタミの手法がこの映画でも輝きを見せている。
映画に出てきたジグザグ道が出てきたときの、行ったことないイランに感じたあの郷愁はなんだったのか。
「黄桃の味」でも見覚えのある小道が出てきたり、キアロスタミにイランのどことも知らない絵本のように美しい景色を故郷として刷り込まれ始めている。
生々しい被災地の光景や、そこで強く生きる人々の姿をどうしても記録に残さねばと思ったのだろう。
ラストのロングショット長回しがじんわり心に染みて、いい映画を観たなという気持ちに浸ることができる粋なえいがだった。
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