ご一緒にこちらの映画はいかがですか?

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映画「ゴーン・ガール」(2014)

作品情報

原題:Gone Girl

監督:デヴィッド・フィンチャー

出演:ベン・アフレックロザムンド・パイクニール・パトリック・ハリス/タイラー・ペリー/キム・ディケンズ

制作国:アメリ

上映時間:148分

配給:20世紀フォックス映画

年齢制限:R15+

あらすじ

幸せな夫婦生活を送っていたニックとエイミー。しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪してしまう。著名人であるエイミーの失踪は瞬く間に全米のニュースになるが、不自然なアリバイのニックに警察は疑いの目を向け、メディアはニックを犯人扱いし始める。

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鳥肌が止まらない、異次元の天才デヴィッド・フィンチャーの美学が極まった極上の2時間29分

「セブン」「ゲーム」「ファイト・クラブ」「パニック・ルーム」「ゾディアック」「ベンジャミン・バトン」「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」「ゴーン・ガール」「Mank/マンク」と、傑作しか作らない異次元の天才フィンチャー(「エイリアン3」も好きよ)

そんなフィンチャーのステージをさらに引き上げた傑作がこの「ゴーン・ガール」だろう。

 

妻の失踪、心配してテレビで呼びかける夫。

そんな世界仰天ニュースみたいなあらすじと薄暗い陰湿な雰囲気、そして149分の長尺に気圧されこの映画を回避している人も多いのではないだろうか。

だとしたらそれはもったいない。

 

確かに幕開けは想像通りの失踪事件ミステリーだが、そこから展開される物語は恐ろしいほど面白く、それが延々持続する。

途中で映画のジャンルが二転三転するが、その全てが面白く2014年全体で見ても他の追随を許さない圧倒的な強度で149分を走り抜いた大傑作だ。

メディアによって被害者と加害者が簡単にひっくり返る状況は、劇中だけでなく映画を観る観客すら翻弄し事件の当事者としてどっちに転ぶか想像のつかない完璧なストーリーテリングを見せる。

 

フィンチャーが求める究極の映像美はいつもながらパーフェクトでアートの域に達している。

サスペンスの名手としてその手腕を遺憾なく発揮するフィンチャー演出に、ブラックユーモアもたっぷりで息もつかせぬエンターテイメントとしても優秀。

 

もはや巨匠の域に達しているフィンチャーに未だに賞を与えないなんてアカデミーも見る目がない。

観客受けが悪くて円盤が投げ売りされるならまだしも、誰もが認める究極のフィルムメーカーの一人だと思われるのだが・・・

 

クズ夫vsこの嫁が怖いオブ・ザ・イヤー。

そんな二人すら凌駕するヤベーやつらも次々参戦。

2時間29分の長さを全く感じさせないクレイジーバトルロワイヤルが今はじまる!